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市報松江 2020年1月号

新春対談「松江城天守」国宝指定5周年を迎えて(2)

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島根県松江市 クリエイティブ・コモンズ

■松江城を中心としたまちづくり
松浦:平成25年に山口県萩市で開催された「中国地方歴史まちづくりサミット」に出席したときに、萩市のまちづくりを所管する部局が「歴史まちづくり部」という名前だと知りました。当時、松江市は「都市計画部」でしたが、「これでは特徴のない名前で、松江のまちづくりの方向性が見えず、全国一律のまちづくりになってしまう」と感じました。それをきっかけに今の「歴史まちづくり部」をつくり、しばらくして、教育委員会で所管していた文化財行政も歴史まちづくり部に移管しました。
藤岡:それ以後の市長のスタンスは、城だけではなく城を取り囲んだ城下町のまちづくりを意識しておられると感じます。松江城天守国宝指定記念シンポジウムの基調講演で東京文化財研究所長だった亀井伸雄先生(当時)がおっしゃったのは「城を国宝にしただけではない。これからは城を中心にした城下町も整備しなければいけない」ということでした。
松浦:単に松江城だけを磨き上げるのではなく、歴史的なものを大事にして松江全体を立派にしていくことを考えなくてはいけないと思ったわけです。「歴史まちづくり部」をつくったのは、歴史的なものを生かして松江のまちづくりを進めていくんだという考えを表明したということでもあります。昔のたたずまいを残し、古い建物を守っていくことや、お茶などの昔からの文化を守って伝えていくことも含めて、松江城を意識したまちづくりを進める、それは市民の皆さんにも理解していただけるんじゃないかと思います。
藤岡:国宝・重要文化財などの城を回るツアーに参加したことがありますが、帰りの車中では「ああ、やっぱり松江城が一番よかった」と誰もが言うんです。松江城は平山城で、城がまちの四方から見えることもあって、城下の人たちに威圧感や圧迫感がなく、かつての権力者対被支配者というようなイメージが昔からなかったんじゃないかと思います。親近感があって、きれいだとか美しいとかという存在だったのかもしれませんね。

■これから目指すこと
吉田:チーム水燈路では「水燈路を松江の文化にする」ということを目標に活動しています。水燈路そのものを文化にしていくと同時に、松江の文化を体感できるということも大切にしています。公募して提案のあった企画の中から怪談会、天守でのお茶席、茶を点てる様子をライトアップして大きな和紙のスクリーンに影絵として映すことなどをこれまでに実施してきました。水燈路を通して松江の文化を伝えるということを一緒にできる仲間が増えていくことで、松江城を守り伝えていく担い手も同時に増えていくのではないかと感じています。
藤岡:松江市史の別編として発行された「松江城」は、多角的な歴史、地図学、地質学、建築学などの総合的な決定版で、松江城の調査研究の現時点での最高の成果が表れています。ただ、専門的な内容で一般の人には読みづらい点があるかもしれません。もう少し読みやすい略装版などで、より多くの人に読んでもらって松江城のことを知ってもらいたいですね。
松浦:松江城は念願かなって国宝になりましたが、次は「世界の松江城」にしたいと思っています。姫路城、彦根城を含む国宝5城を中心とする近世城郭群として世界遺産登録を目指そうと、松本市と犬山市と松江市で調査研究を行っています。姫路城はすでに世界遺産になっていますが、近世城郭群として一体的に世界遺産になれば、さらに価値を上げていくことにもつながり、そのことが松江城を守ることにもつながります。ぜひ世界遺産に登録されるよう、市民の皆さんと力を合わせてまいりたいと思います。

■松江城天守国宝指定5周年記念シンポジウム開催予定
国宝松江城 そして世界遺産へ~ふるさとの宝を守り伝えていくために~
日時:令和2年7月12日(日)
場所:島根県民会館
内容:
・第1部…講演
・第2部…フォーラム
講師(予定):
・藤井恵介氏(東京大学名誉教授、文化庁文化審議会委員)
・上野勝久氏(東京藝術大学教授)
・西和彦氏(東京文化財研究所 国際情報研究室長)

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