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市報松江 2019年3月号

コラム神国の首都 Vol.112

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島根県松江市 クリエイティブ・コモンズ

寒風吹きすさぶ夜、隣町の親せきから「久しぶりに寒ブナが獲れたよ」との電話。体の半分が宍道湖の魚介類で育った我が身は小躍りし、パジャマ姿のまま車へ。待っていたのは持参したタライからはみ出す体長40センチ以上の大フナ4匹。ところが、フナばかりではなかったのです。家人が「おまけだよ」とニンマリ顔で差し出したのは、このところほとんどお目にかかれなかったシラウオではありませんか。それもかなり大振りなもので手にズシン。たちまち食いしん坊の頭の中に料理番組でお馴染(なじ)み「チャンチャンチャカチャカ チャンチャンチャン」のメロディが流れ、味覚人飛行物体、鋼鉄の胃袋などの異名を持つ小泉武夫さん(発酵学者)の言葉を借りるなら、「脳がちゅるちゅるとよだれを流し始めた」のです。

■シラウオが豊漁
日本海側や中海周辺、市街地の方には理解できないでしょうが、宍道湖周辺に住む中高年の多く(多分)にとって、フナやシラウオ、アマサギを口にするのは至福の時間そのものなのです。「生臭い」と言うなかれ、その生臭さ、シラウオのほろ苦さがたまらないのです。
それにしても、あの細身のシラウオが昨夏の猛暑を生き延びていたとは驚きで、宍道湖漁協に問い合わせると、猛暑後にも宍道湖のあちこちで稚魚の大きな群れを確認していたそうです。シーズンごとに水揚げ量の変動が激しい理由は分かっていないそうですが、今冬は1月初旬から獲れ始め、おそらく数年来の豊漁が見込める、とのうれしい話でした。ちなみにフナは平年並みとか。アマサギに至ってはわずか9匹(2月5日現在)で、貴重さゆえ生きたまま漁協に持ち込まれ、今は産卵、ふ化のため島根県内水面水産試験場(出雲市平田町)の水槽で優雅?に泳ぎ回っていらっしゃるとか。

■海は寒ブリが一番
海側の皆さんに敬意を表して、次は寒ブリの話を。島根町の野波保育所では毎年、JFしまねの魚食PRとして寒ブリが2匹提供され、給食のメニューが照り焼きにアラ汁、特に今年は内臓の煮込み付きの超豪華版と聞けば車で40分の距離も遠からじです。純朴で愛らしい園児にして「心臓がコリコリして好き」「皮が大好き」「目玉はおいしいけど食べ飽きた」の超絶コメントにはたまげてしまいました。普段新鮮な日本海の幸を食べ慣れているからこそなんですね。イカの一夜干しさえ作るという年中年長の園児13人に、あえてクエスチョン。「フナを知っていますか?」。「知らなーい」12人、「食べたことは?」。「はーい」と手を挙げたのはたったの一人でした。当然といえば当然の結果ですかね。

■ゴチになりました!
さて、ここからは食レポに。「チャンチャンチャカチャカ」のメロディとともに、フナはさばいて刺身とアラ汁、シラウオは刺身と卵とじ、タマネギやセリとのかき揚げ、タカナと卵の澄まし汁の4品仕立てに。コリコリにしてジワッと甘いフナの刺身、独特の苦みがくせになるシラウオにはしが止まりません。さらに寒ブリもゴチになり、刺身と照り焼き、アラ汁、内臓の煮込みとも大変おいしくいただきました。脂が乗った刺身は甘くとろけ、初めて食した内臓の煮込みは肝の少しの苦みをアクセントにした奥深い味がもっちりふんわりと口に広がる絶品中の絶品でした。これにて、今回は締めさせでいただきます。「ヨー チャンチャン」。
(瑛)

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